【臨床系の大学院について】


 【ガチンコ大学院予備校(立正大学心理学部若島研究室所属)】 
講師 齋藤暢一朗
 (首都大学東京)

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臨床系の大学院について

臨床心理学専攻(臨床心理学コース)の大学院受験の際の選択について、ここで少し書かせていただきたいと思います。家族心理学を学びたいと希望されている受験生の方は、当然家族心理学系の先生がいる大学院を受験されると思います。しかしながら、現状としてはそういった専門性のある先生がいらっしゃる大学院というのは依然数が少ないようです。特に臨床系で考えた場合、「家族療法」を専門にされる先生がいる大学院はさらに絞られます。

ここで受験生の方々が悩まれる事態としては「どの家族心理学系の先生の院を受験しようか」というものと、「家族心理系の先生がいない院で選ぶにはどうすればよいか」ということが考えられます。つまるところ、「臨床心理系の大学院はどういった基準で選択すれば良いのだろうか」ということになると思います。これに対する回答には様々あると思いますが、ここでは私なりの回答を紹介させていただきたいと思います。

 @「外部実習の準備ができている大学院を選ぶ」・・・これは非常に重要だと感じます。外部実習というのは、言ってみれば「現場」を体感・勉強するということでしょう。臨床系は、卒業後は現場で勤務することになるわけですから、現場の手触りをつかめるのとそうでないのとではやはり差が出てくると思います。特に精神科領域の実習が用意されているところを勧めます。患者さんと関わる、患者さんの症状と関わるということはゼミや文献ではできません。さらに欲を言えば、患者さんのその後の展開を学ばせていただける、多くの新患さんたちと関わらせていただくことができる、スタッフの方々と継続的な関係を築く上での勉強になるという長所から、一つの病院で一年以上の実習ができるところが良いと思います。どこの実習先に行くことになっても、実習生という「肩身の狭さ」を経験します。しかし、将来的に実際の現場で働くことになっても「心理職」の肩身の狭さは、大なり小なり感じることになるのではないでしょうか。肩身の狭い思いを抱えながらもスタッフの方と関係を築くことを学ぶことは、多職種の現場に出て心理職としてやっていけることにつながるものと思います。

 A「大学内の心理相談室が機能している大学院を選ぶ」・・・これも重要だと感じます。大学内の心理相談室は地域に対する援助という目的以外に、院生の勉強の場でもあります。理由は様々考えられるとは思いますが、現状として大学内の相談室が十分に機能していない大学院というのは少なくないようです。つまりは相談室にクライエントが来ないのです。例えて言うならば、実家へ親戚が訪ねてくる頻度くらいしか新規のケースがないということもあるようです。先生のケースに陪席させていただく、実際にケースを担当するなど、院生の立場は先生方の方針によって異なります。しかし、自分が指導を仰ぐ先生の臨床を生に学ぶ機会はこの「内部実習」です。「ゼミでディスカッションをする機会はあったけど、実際に先生がどういう面接をしているのか、自分のケースに対してどのようにコメントをいただけるのかはわからなかった」というのは残念なことだと思います。このことがしっかりしている大学院では、この「内部実習」でその後の自分の面接スタイルの「感じ」を体得する方が多いと思います。

最後に。私は幸いにもこれらの点に関して非常に恵まれた環境で2年間過ごすことができました。しかしながら、こういった環境に恵まれなくとも非常に優秀な先輩たちや仲間を多く見ています。そういった方たちに共通しているのは、貪欲に自分が必要とすることを学ぶ機会を探し、実際に多くのことを学ばれている方々であると言えます。「実習先探し」「スーパーバイズ依頼」「ワークショップ参加」「研究会参加」などに労と時間を費やすことを惜しまない方々です。今回の趣旨と矛盾するような結論ですが、これらのことに貪欲である姿勢と社会性があれば、どこの大学院であっても非常に有意義な2年間を過ごすことができるはずです。ガチンコ大学院予備校的に結ぶとすればこうなります。

「まずは大学院に合格することです」